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活動報告

当法人顧問研究者よりスペインでの学会参加のご報告

当法人では、ムコ多糖症の患者・家族のQOL向上事業の一環として、様々な分野の専門家にご参加いただき、顧問研究者という立場から、これまでにないテーマの研究に取り組んでいただくべく、ご協力を仰いでおります。
その第1歩として、精神医療の専門医師である今村芳博先生が「ムコ多糖症の患者家族のメンタルケアサポートのあり方について」というテーマでリポートをまとめられ、6月にスペインの学会にて発表をされました。
 以下に、今村先生からの報告を掲載いたします。

ムコ多糖症の患者家族のメンタルケアサポートのあり方について

ムコネットをご覧の皆様、こんにちは。
私はムコネット顧問研究医師として、先天性ムコ多糖症の患者さんやご家族がよりよく生活し、人生の質を向上させるためにはどうしたら良いかという事について、平成19年12月から平成20年2月まで、皆様のご協力のもと、アンケート調査をさせていただきました。その結果は、対象者としてご協力いただいた皆様へ既に詳細にご報告申し上げました。皆様のご理解とご協力を大変感謝しております。

このたび私はその成果をもとに、日本のムコ多糖症患者家族に必要とされる心理的サポートのあり方についてまとめ、平成20年6月9日から14日まで、スペインのマドリッドで行われました第10回世界精神腫瘍学会(10th World Congress of Psycho-Oncology and Psychosocial Academy hosted by the International Psycho-Oncology Society (IPOS))で「Mental Health Conditions and Posttraumatic Stress Symptoms among Families of Patients with Mucopolysaccharidoses in Japan」と題しましてポスター発表をして参りました。

この学会は、悪性腫瘍や難病に苦しむ患者さんやご家族に対するケアを研究する会です。正確な人数は把握できませんでしたが、世界中から多くの医師、看護師、保健師、心理士などが参加して熱心な議論がなされていました。私の発表についても、多くの方に見ていただく事ができました。

用意していった50枚のハンドアウト(ポスターを小さい紙にまとめなおした別刷り原稿)も全て配り終えましたから、少なくとも50名の研究者の方にはムコ多糖症について、また患者さんやご家族の悩みの様子について直接会って説明する事ができました。そこで多く寄せられた意見をご紹介しますと、まだまだムコ多糖症という疾患が世界的にもあまり知られていない様子で、病気の様子や経過、治療のあり方についての説明をしておきました。

特に、あるオーストラリアの保健師さんは、地域社会におけるソーシャルサポート(患者さんや家族を手助けしてくれる人や社会的資源など)をいかに高めていくかという研究をしているそうで、私の発表に興味をもっていただき、長い時間話しこみました。日本における医療システムの現状から説明して、ムコ多糖症は希少な進行性難病であるがために患者家族が十分な情報を得る暇もなく、大きな治療的決断を強いられている現状、ドラッグラグに代表される社会システムの不十分さ、それらに伴う心理的負担などを説明したところ、大変感心していただき激励の言葉をいただきました。この時は、人種や国籍の違いを超えた人間性の交流を果たすことができた事や、皆様にアンケートにご協力していただいた感謝の気持ちなどが一度に私の心にわき上がってきて感激しました。

今回は私一人での海外出張となり、多少心細い気持ちになりましたが、アンケートに協力していただいた皆様やムコネットに賛同していただいた方など多くの方に支えられて発表をやり遂げる事ができました。今後は、海外のムコ多糖症支援団体と協力関係を結び、人材交流を通して先進的な医療の情報や疾患教育資源の国内導入、支援団体と医療や患者様方の三者協調体制によるさらなる医学的発展、それによる治療法確立と福祉の充実、権利擁護と啓発活動などを目標に頑張っていきたいと思います。今後とも皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

ムコネット顧問研究医師 大村共立病院 精神神経科 今村芳博

ムコネット顧問研究医師 大村共立病院 精神神経科 今村芳博
ムコネット顧問研究医師 大村共立病院 精神神経科 今村芳博